TW4、サイキックハーツの諫早・伊織(d13509)のキャラブログ。仮プレだったりSSだったり。SSは少し暗め予定。
分からない人、TW、PBW、SHときいてピンとこない人は回れ右。
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(ちょっと書きかけ。とりあえずあげてみる。また書き直すかも)
深く深く、 底の無い闇に沈んでいくような
どこまでもどこまでも終わりのない穴を堕ちているような
そんな奇妙な感覚
(イメージ壊れるってことならお戻りを)
深く深く、 底の無い闇に沈んでいくような
どこまでもどこまでも終わりのない穴を堕ちているような
そんな奇妙な感覚
(イメージ壊れるってことならお戻りを)
「君影草」
記憶の中にある声は、自分をそう呼ぶ。
柔らかな声で呼ばれ、幼さをのこした身体を豪奢な衣装に包まれ、綺麗に結いあげられた白銀の髪とそこに映える煌びやかな簪を揺らして、”オレ”は振り返った。
頭を動かすたびにシャラシャラと耳障りな音を立てる簪を鳴らして振り向くと、あの人はいつもその声と同じように柔らかな笑みを浮かべ、まるで子供のような無邪気に笑っていた。
「君影草」
再び、あの声が呼ぶ。
「なあに?どうしたの?姉さま」
あの、曇り硝子のように濁ってしまった瞳に”オレ”は写っていないのだと知りながら、
”オレ”は”君影草”として返事を返す。
「あぁ、君影草。聞いてちょうだい。私の可愛い、君影草、いいえ、二人のときはそんな無粋な呼び方は駄目ね。鈴蘭。あぁ、なんて素敵な名前。あなたによく似合っているわ。ねぇ、鈴蘭、私の鈴蘭。聞いてちょうだい、あのね、ーーー」
壊れた蓄音機の様に、彼女は言葉を紡ぐ。
彼女が求めているのは”伊織”ではない。
”鈴蘭”
母だ。
家族を、世界のすべてを失ったあの日、おそらく”諫早・伊織”は死んだのだろう。
身体ー外側ーは存在していても中身は空なのだろう。
幾人もこの身体を通り抜けて行ったけれど、心には空虚な穴が空いたままだった。
己を抱きしめ、首元に牙を突き立てる女と、その背後に見える紅格子ーまるで檻のようだ、と考えて、そう考えた自身を嘲う。
何をいまさら。
あれが檻でないというのなら、己の手足に絡みつくこの鋼はなんだというのだ。
いや、違う。
鋼でも朱塗りの格子でもない。
ましてや、女の言葉が捕らえているのではない。
捕らわれているのは
自分だ。
たとえ代わりでも、欲望の対象であったとしても、
必要とされることを、
求められることを、
望んでいる。
「鈴蘭」
朱にぬれた桜唇が呼ぶ。
その声を合図に、”オレ”はいつものように瞳を閉じた。
ふっ、と意識が一瞬遠のくような気がして、次の瞬間、目を覚ますとそこは一面の桜吹雪だった。
「鈴蘭」
またあの声がして”オレ”はまた、あの腕の中から抜け出せなくなる。
間違っていると知りながら、
どうすればよいのか、
どうすれば、この世界ー彼女の心(ソウルボード)ーが闇に染まるのを防げるのか
答えを見つけることができぬまま、”オレ”は、また、逃げるように、瞳を閉じた。
部屋の中には寄り添う様に眠る一組の男女
格子ごしに吹きこむ風が、濡れた体を冷やさぬように、と床に落ちていた布をかけ
幸せそうに微笑み眠る女と、その腕に抱かれ、人形のように眠る少年を見つめ、
闇よりも黒いその獣は悲しげに鳴くと、少年の胸元に丸くなった。
まるで、少年の心だけでも、守ろうとするかのように・・・。
記憶の中にある声は、自分をそう呼ぶ。
柔らかな声で呼ばれ、幼さをのこした身体を豪奢な衣装に包まれ、綺麗に結いあげられた白銀の髪とそこに映える煌びやかな簪を揺らして、”オレ”は振り返った。
頭を動かすたびにシャラシャラと耳障りな音を立てる簪を鳴らして振り向くと、あの人はいつもその声と同じように柔らかな笑みを浮かべ、まるで子供のような無邪気に笑っていた。
「君影草」
再び、あの声が呼ぶ。
「なあに?どうしたの?姉さま」
あの、曇り硝子のように濁ってしまった瞳に”オレ”は写っていないのだと知りながら、
”オレ”は”君影草”として返事を返す。
「あぁ、君影草。聞いてちょうだい。私の可愛い、君影草、いいえ、二人のときはそんな無粋な呼び方は駄目ね。鈴蘭。あぁ、なんて素敵な名前。あなたによく似合っているわ。ねぇ、鈴蘭、私の鈴蘭。聞いてちょうだい、あのね、ーーー」
壊れた蓄音機の様に、彼女は言葉を紡ぐ。
彼女が求めているのは”伊織”ではない。
”鈴蘭”
母だ。
家族を、世界のすべてを失ったあの日、おそらく”諫早・伊織”は死んだのだろう。
身体ー外側ーは存在していても中身は空なのだろう。
幾人もこの身体を通り抜けて行ったけれど、心には空虚な穴が空いたままだった。
己を抱きしめ、首元に牙を突き立てる女と、その背後に見える紅格子ーまるで檻のようだ、と考えて、そう考えた自身を嘲う。
何をいまさら。
あれが檻でないというのなら、己の手足に絡みつくこの鋼はなんだというのだ。
いや、違う。
鋼でも朱塗りの格子でもない。
ましてや、女の言葉が捕らえているのではない。
捕らわれているのは
自分だ。
たとえ代わりでも、欲望の対象であったとしても、
必要とされることを、
求められることを、
望んでいる。
「鈴蘭」
朱にぬれた桜唇が呼ぶ。
その声を合図に、”オレ”はいつものように瞳を閉じた。
ふっ、と意識が一瞬遠のくような気がして、次の瞬間、目を覚ますとそこは一面の桜吹雪だった。
「鈴蘭」
またあの声がして”オレ”はまた、あの腕の中から抜け出せなくなる。
間違っていると知りながら、
どうすればよいのか、
どうすれば、この世界ー彼女の心(ソウルボード)ーが闇に染まるのを防げるのか
答えを見つけることができぬまま、”オレ”は、また、逃げるように、瞳を閉じた。
部屋の中には寄り添う様に眠る一組の男女
格子ごしに吹きこむ風が、濡れた体を冷やさぬように、と床に落ちていた布をかけ
幸せそうに微笑み眠る女と、その腕に抱かれ、人形のように眠る少年を見つめ、
闇よりも黒いその獣は悲しげに鳴くと、少年の胸元に丸くなった。
まるで、少年の心だけでも、守ろうとするかのように・・・。
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