TW4、サイキックハーツの諫早・伊織(d13509)のキャラブログ。仮プレだったりSSだったり。SSは少し暗め予定。
分からない人、TW、PBW、SHときいてピンとこない人は回れ右。
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試合終了後
トラウマと、過去の思い出と。
闇落ち人格出没注意
読む方は、要注意
いろいろ注意
久しぶりに嫌なものをみた。
いつものように行っていた模擬戦で僅かな油断からまともにくらった影喰らい。
トラウマを与える、という暗闇の中で、自身がみたのは遠い日に見た、
忘れられようはずの無い”あいつ”の後姿。
脳が認識するより早く、手にした鋼の糸が闇を切り裂き、
気付けばオレは、そいつを殺そうとしていた。
それが、共に強さを求める仲間であり、”あいつ”ではない、と、寸でのところで気付き、刃を返さなければ、どうなっていたか。
なんとか、いつも通りの自分を取り繕うことができたが、帰宅し一人になってから、がまずかった。
瞳を閉じるたびに、何度も同じ光景が繰り返される。
床一面にあふれる、赤
倒れ伏す人の顔がいつの間にか、増えていて
どんなに止めたくても、とどかない
どんなに叫ぼうとしても、声にならず
やまない赤い雨を降らすのは自分のはずなのに、
狂ったように楽しそうに笑う己の声も、
振るわれる刃も
決して止まることなく
そうして、なんども夜中に目覚めては、夢であることに安堵する。
その繰り返し。
「・・・ったく・・・勘弁せぇ・・・」
知らず、口をついて弱音が漏れる。
誰に対して、ではなく、自身に対しての。
癒えたと思っても、いまだに癒えず
過去に捕らわれている自身に対しての
おそらく、誰にも見せたことのない、嘆き。
『くすくす、かわいそうなイオリ』
『一人で苦しんで、誰にも助けてもらえなくて』
『僕なら助けてあげるのに』
『君を一人になんてしないのに』
己と同じ声が、脳裏に響く。
くすくす、と過去に捕らわれて動けない自信を哂うように。
『ねぇ、なんでそんなに頑張るの?』
『つらいなら忘れちゃえばいいのに』
『あ、そうだ。なんなら、僕がみんな消してあげるよ』
『”あいつ”の事も、みーんな。ね。そしたら楽になれるよ』
「・・・れ」
楽しそうにしゃべり続けていた声が、ふいに止まった。
「黙れ、て言うとるやろ」
ダークネスと戦ったときですら、滅多に出さない冷え切った声に、もう一人の自分が嬉しそうに笑ったのがわかった。
『ねぇ、イオー
「確かに、あんたはオレん一部や。」
言いかけた相手の声を遮って続ける。
「せやけどな、オレは忘れるつもりはあらへんし、あんたに消されるなん、まっぴらや。」
「分かったらはよ消え。あんたん面見とると胸糞悪くなるわ」
そう言い放つと声は楽しそうに笑ったまま、大人しく消えた。
「ったく、ほんま、むかつくわ。」
そう呟きながら立ち上がり、窓を開ける。
今日は三日月。ステンドグラスの猫の様に月が綺麗に弧を描いていた。
そのまま、窓の外に身を躍らせ、屋根の上に音もなく降り立つ。
家主に見つかれば怒られるかもしれないが、その時はその時。
素直に謝ればいい。
そうひとりごちて、伊織は適当なところに腰をおろし、月を見上げた。
三日月は眉に例えられる、と教えてくれたのはだれだっただろうか。
今は亡き、その柔らかな笑顔を思い出しながら、そのまま仰向けに寝転がり、静かに瞳を閉じた。
過去は今も自信を苛むし、髪の色は戻らない。
けれど、それでも
生きて、突っ走って、這いつくばって、そしてー
「笑え、か」
父の遺言がふと、脳裏に浮かんだ。
自分はうまく笑えているだろうか。
大人しく消える前に、もう一人の自分の残した言葉
『いいよ、イオリがそう望むなら、今は消えるよ。
でもね、イオリ、嘘つきで偽善者なイオリ。僕はいつまでも、いつまでも君を待っていてあげるからね。
だから、
足掻いて、足掻いて、そうしてすべてに絶望して
はやく、僕だけのものになってよ』
きゃらきゃらと楽しそうな声が耳の奥でこだまする。
ったく、オレが嘘つき、やと?
そんなん、わかっとるわ。
今を大切にしたい、出逢えた仲間たちを、共に過ごす時間を大切に思っている自分がいる。
それと同時に、いつか別れが来るだろうことも分かっている。
いつか、彼らをおいて行く日が来るだろうことも。
永遠、なんてものはこの世にはないのだから。
それでも
例え別れる時が来ても
忘れ去られてしまったとしても
自分は忘れないから。
共に過ごした時間が、交わした言葉が、思いが、自分の背中をおしてくれる。
前に進む力になってくれるから。
そう、心の中で呟きながら、頬に触れる慣れたぬくもりに手を伸ばし、
おかえり、と告げる。
ただいまですよー、という声を聴きながら、伊織はまどろむ意識を手放した。
今度は眠れそうだ、と、胸元で丸くなる家族のぬくもりを感じながら。
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